研究課題
若手研究(A)
SF_6ガスは優れた絶縁・遮断特性を有し、機器のコンパクト化・高信頼性化に大きく貢献するため、高電圧ガス絶縁電力機器の主絶縁媒体として広く導入されている。一方、SF_6ガスは温室効果ガスであるため地球温暖化防止の観点から、大気への漏洩と共に使用量の削減が要請されている。本研究では、これまでの研究で明らかにしてきた電子付着性ガスを微量混合することでSF_6/N_2混合ガスの絶縁破壊電圧が劇的に上昇したメカニズムを明らかにし、環境負荷を極小化するような最適なガス種・混合割合を理論的に導出すること、及び絶縁破壊の前駆現象である部分放電現象を電気・光学的に同期計測することで混合ガス中の放電進展機構や絶縁破壊機構を詳細に検討した。その結果、以下の知見を得ることができた。(1)nsオーダの時間分解能で、放電の電流パルスと発光強度の時間変化および発光進展のストリークイメージとその測定時間内の積算イメージを同期して同時に測定できる装置を構築した。同装置により、連続する多数の放電パルスの一発一発の電気・光学的情報を取得でき、またその各発光を時間分解分光できるようになったため、放電進展のガス種や放電形態の同定が可能となった。(2)不平等電界下でのSF_6やPFC混合ガス、あるいはCO_2ガスの破壊機構並びに破壊に至るまでの部分放電現象を(1)の装置を用い詳細に明らかにすることができた。本実験条件では、10%SF_6使用時には30%N_2、_60%CO_2混合時が最適であり(50%SF_6では49%N_2、1%CO_2混合)、そのような3種混合ガスの部分放電時系列特性は、規格化するとSF_6やSF_6/N_2混合ガスともほぼ同様であることがわかった。また、破壊に寄与する部分放電を明らかにした。(3)CF_4、C_2F_6、C_3F_8、CO_2、N_2、H_2O、O_2、Ar、Xeガスを対象に、遺伝アルゴリズムを用い実効電離係数がゼロとなる電界(臨界電界)が最大となる混合ガス種を検討した結果、2.2%CF_4/73.6%C_3F_8/24.2%N_2混合ガスという理論結果を得た。
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