配分額 *注記 |
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2004年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2003年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2002年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
|
研究概要 |
水田主体の農業流域を対象に,汚濁負荷流出の影響因としてのイベント時の水管理や土壌の種類,農業地域の灌漑排水網での水移動を考慮した分布型負荷算定モデルの構築とそのGISへの実装を行った.モデルの全体は3つのサブモデルから構成される.圃場への用水流入量を入力とし圃場内の水収支計算の結果から圃場からの排水量を算定する水収支モデルと,水収支に伴う物質移動の他,各種物質循環や形態変化を考慮した上で圃場からの流出負荷量を算定する物質収支モデル,各圃場への用水配水量と用水水質,排水路を流下する水量と水質を計算する用排水ネットワークモデルである.本年度は,各モデルに改良を加え,実流域での水循環評価を試みた.改良した点は以下の通りである.水収支モデルでは,堰の公式,圃場容水量を加えた.物質収支モデルでは,SSへの栄養塩の吸脱着,SS沈降,植物プランクトンへの栄養塩取り込みを考慮に入れた.用排水ネットワークモデルでは,GISを利用し頭水工などの各種機能や水路,圃場の位相情報と接続関係を効率的に参照するための計算ルーチンを改良した. 以上のモデルを滋賀県野洲川流域の水口頭首工掛けエリアに適用した.計算の結果,水路末端の排水が流入する河川の実測流量と水質に対して,比較的高い相関関係が得られ,地域における水循環,および,水質について年間を通して算定が可能なモデルを構築できた.また,このモデルを用いて,圃場からの汚濁流出を削減すると考えられる複数の対策について評価を行った結果,施肥削減および用水の適正管理によって汚濁流出量が削減されることが評価できた.今後は,より大規模な流域で適用できるように,GIS上での地理情報の利用とモデルへの引き渡しをスムースに行えるように計算手法を改善することと,観測と適用例を増やすことによってモデルの精度および信頼性を向上させることが必要である.
|