研究課題
若手研究(A)
我々は小規模非対称構造物(粗度)を海底に設置することにより底質の移動を制御し、海岸侵食等の諸問題に対処する技術を提案している。本年度はその手法の特長の一つと成り得る「任意の方向に任意の大きさで底質輸送を制御可能」を実現すべく、周期の短い往復流場における非対称構造物の抵抗特性、および波向きに対する粗度の設置角度(θ)の変化に伴う抵抗特性について検討を行った。実験には振動流装置を用い、水槽中央に設置された粗度単体に作用する抵抗力を測定した。非対称粗度には1/4球型と半円筒型を用い、また比較のために対称形状を有する半球型を用いた。θ=0における半球と114球の抵抗力をそれらの位相平均波形によって比較検討した。KC数が小さく慣性力が卓越する条件では、無次元時間t/T=0.75(Tは周期)の位相において、加速度が大きいために1/4球型では半球型と比べて力の値が急激に大きくなる。また、無次元時間t/T=1(または0)の位相においては、定常成分による抗力が大きくなるため1/4球型では半球型と比べて力の値が大きくなる。半円筒と1/4球では代表スケールとして各々の直径を取った場合、半円筒の残差抵抗係数の方が大きく、本手法に用いる構造物形としては有利である。これは球体の代表スケールとして直径をとると実質的な代表スケールを過大評価することによる。1/4球ではKC数が大きいとき、θが大きくなるとθの増加に対して残差揚力係数は減少傾向になり、その結果残差合力も非常に小さくなる。しかし、KC数が小さいときには慣性残差揚力が大きくなり、その値はθ=0の時の(波の進行方向の)残差抵抗力並みになる。結果としてKC数が小さい場合、残差合力はθの変化に関わらずほぼ一定となる。このことは、一周期平均でみると波向きと直交する向きでさえも非常に大きな力を発揮できることになり、本手法にとって非常に有利となる。
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