研究課題
若手研究(A)
電子線は非常に高感度な粒子線であり、物質との相互作用断面積が非常に高いことから、有用なプローブとなりうる。この性質を利用して、様々な分析方法が実現されている。本研究は、電子励起を利用して、表面反応素過程を解析するための手法を確立することが目的となっている。具体的には、電子刺激脱離法および、高分解能電子エネルギー損失分光法を用いた研究を行ってきている。それらの経験をふまえて新しいシステムの確立を目指している。これと平行して、電子励起による表面反応自体についても研究を進めて、測定対象を探索する方針となっている。今年度の成果は以下の通りである。(1)現在開発中の電子分光装置の性能向上にむけた改良を行い、電子刺激脱離陽イオンイメージングを行うことで、吸着種の同定、吸着サイトの判別、パルス分子線との組み合わせによる表面反応の素過程解明に取り組み、S/N比の向上、空間分解能の向上に取り組んでいる。(2)Mo(112)表面のリン原子、硫黄原子による修飾による表面構造の低速電子回折および高分解能電子エネルギー損失分光法による表面構造の解明と化学過程の活性化に取り組み、新しいリン吸着超構造の出現、振動スペクトルの測定が可能となった。(3)メタンなどの不活性分子をビーム状にして表面に衝突させ、修飾表面または、電子線励起による活性化とベンゼンなどの有用な分子への変換を目指した研究を行っており、現在は、条件の最適化を行っている。(4)色素増感太陽電池は、チタニア-色素複合系の光励起による電子及びホールの挙動が重要であり、この動作機構の解明とより有効な系の探索の為の研究を行い、チタニア薄膜の作成、電池セルの組み立て、封止に関して、技術的に確立した。(5)チタニア(110)表面上のギ酸脱水反応の理論的解明、Re触媒によるベンゼンからフェノールへの直接酸化反応、Pd触媒によるヒドロアミネーション反応、Rh触媒による形状選択的水素化反応の研究に関して、論文発表を行った。
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