配分額 *注記 |
27,950千円 (直接経費: 21,500千円、間接経費: 6,450千円)
2004年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2003年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2002年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,多金属中心を活性部位とする有機金属クラスター化合物を触媒とした新規合成反応の開発である.従来の単一金属中心型触媒では,活性中心が限られた種類の金属元素であるのに対し,多金属中心型の分子触媒ではこれらの金属元素の無限の組み合わせによって,多様かつ未知の反応性の発現が期待される次世代の分子触媒と言えよう.本研究ではとくに,化石資源の有効利用の観点から,エチレン,アセチレンに代表される不飽和炭化水素類を積極的に利用する精密分子変換プロセスを,多金属中心型触媒の創製によって実現することに取り組んでいる.これらの新反応開発に際し,大規模量子化学計算を用いた系統的探索を触媒開発に利用し,実験的試行錯誤を最小限とすることを試みた. 本研究によって,複数の全く新しい触媒的炭素-炭素結合生成反応を発見することができた.一つは亜鉛を触媒とする活性メチレン化合物の単純アルキンへの付加反応であり,従来困難であった4置換オレフィン類の立体選択的な合成反応を開発する事ができた.同触媒反応でプロパルギルアルコールを基質とし,種々の生理活性物質の基本骨格としてみられる多置換テトラヒドロフランの簡便合成法を開発した.またインジウムを触媒とする活性メチレン化合物の単純アルキンへ付加を利用したの高効率炭素炭素結合生成反応を開発する事ができた.これらの反応開発の過程において,設備備品として導入した高速計算機を用いた量子化学計算が重要な役割を果たし,新しい反応設計原理を築くことができたと考えている.これらの単一金属触媒反応に対して,鉄とマグネシウム塩などのルイス酸からなる複数金属触媒系を見出し,従前の手法では全く不可能であったかさ高い塩化アルキルと有機金属試薬の交差カップリング反応を可能とした.多金属中心を活性部位とする分子触媒開発に向けて大きな一歩を踏み出すことが出来たと考えている.
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