研究課題/領域番号 |
14703012
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研究種目 |
若手研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分離・精製・検出法
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 久史 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60250833)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
30,680千円 (直接経費: 23,600千円、間接経費: 7,080千円)
2003年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2002年度: 26,780千円 (直接経費: 20,600千円、間接経費: 6,180千円)
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キーワード | 選択的XAFS分光 / 寿命幅フリーXAFS分光 / 高感度・X線分光器 / 共鳴X線非弾性散乱 / 蛍光X線サテライト / 化学シフト |
研究概要 |
X線吸収微細構造(XAFS)分光法は、元素選択性のある局所構造解析法として、いまや確立した手法である。しかし従来のXAFS法にはいくつか欠点がある。その欠点とは、分解能が内殻寿命幅によって決まってしまうこと、そして、異なる化学状態で共存する元素を対象とする場合,平均情報しか得られないことである。本研究は、吸収端近傍のX線発光(共鳴X線非弾性散乱:RIXS)を高精度・高分解能で測定することで、上記の欠点のないXAFS、すなわち「寿命幅による分解能制限がない、状態選別されたXAFS」を得ることと、その方法論を確立することを目的とした。目指すXAFSを、ここでは「選択的XAFS」と呼ぶ。 選択的XAFS測定の最大の困難は、微弱な発光(RIXS)を高分解能で測定しなければならないことにある。この難題に挑むべく、昨年度、5枚の円筒面湾曲結晶と2次元位置敏感型比例計数管を組み合わせた高感度・高分解能X線分光器を開発した。本年度は、この分光器に種々の改良を加えつつ、SPring-8においてMn化合物やCu化合物、Dy化合物など、様々な系の選択的XAFSスペクトル測定に挑み、これに成功した。現在までの成果は、原著論文5報と総説1報(印刷中も含む)としてまとめたが、解析進行中のデータもあり、ざらに上乗せが期待される。 本研究により、選択的XAFS分光法は現実のものとなり、XAFSの可能性は大きく拡がった。本研究がX線分光学に与えたインパクトは大きく、科学計測振興会賞や分子科学研究奨励森野基金の受賞につながった。すでにいくつかの共同研究もはじまっており、本研究は、当初の目論見をこえて、さらに発展中である。
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