配分額 *注記 |
28,600千円 (直接経費: 22,000千円、間接経費: 6,600千円)
2003年度: 16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2002年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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研究概要 |
磁性形状記憶合金NiMnGaは高速・大変形可能な磁場駆動アクチュエータ材料として期待されているが,その脆性が大きな問題である.この克服のため,本研究では,NiMnGaを機械的に粉末化し,組織制御し,樹脂と複合化させることで高機能性と延性・耐久性を付与した新しいアクチュエータ材料を開発することを目的とし,その実証のためにNiMnGaおよびTiNi基合金を用い,それら材料の機械的性質と形状記憶特性を調べ,また,今後の問題点を明らかにした.実験では,室温で母相およびマルテンサイト相である合金を用い,また,樹脂としてエポキシおよびシリコーンを用いた. 形状記憶特性の目安となる相変態について,作製した複合材料について示差走査熱量測定およびX線回折測定をおこなった.その結果,作製したNiMnGa粒子は目的とする変態温度を有しており,これらの合金粒子を用いて作製したコンポジットも粒子単体と同様の変態温度を示し,本研究で選定したマトリックスは変態温度に影響を及ぼさないことが明らかとなった.次に,走査型電子顕微鏡による組織観察の結果より,作製した複合材料の内部組織はNiMnGa粒子の寸法より異なり,微小な粉末ほど粒子間の隙間が小さいため気泡などの欠陥が少なかった.引張試験と動的熱機械特性測定の結果から,マトリックスやNiMnGa粒子大きさ,体積率により,機械的性質および形状記憶特性が影響を受けることが明らかとなった.特にNiMnGa粒子の粒径が微小であるほど,コンポジットの形状記憶特性が優れ,これは先の欠陥の大きさと関係があると結論された.また,粒子の体積率の増加によりコンポジットの変形抵抗も大きくなる.また,負荷応力がマルテンサイトバリアントの再配列に必要な,ある大きさの応力に近づくほどマルテンサイトバリアントの再配列が進行し,コンポジットの形状回復ひずみが増大する.振動試料型磁力測定の結果から,作製したNiMnGa粒子は室温にて強磁性であり,試料に対する印加磁場方向を変化させても,磁化率が変化しないことから,等方的な試料作製に成功したと言える.
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