研究課題
若手研究(A)
アブシジン酸誘導による気孔閉口における活性酸素種の役割に関して以下の結果を得た。特に、エリシター応答に関して重要な知見を得、その成果をPlant Physiology(2002)に掲載した。また、一酸化窒素やエリシター応答に関する知見を得、農芸化学会2004年度大会で発表し、さらに、これらの知見を投稿する予定である。エリシター応答:種々のエリシターがシロイヌナズナ気孔の閉口を誘導することを明らかにした。パッチクランプ法を用いて、エリシターによって原形質膜カルシウムチャネルの活性化が起き、その活性化には細胞質のNADPHが必要であることを明らかにした。NAD(P)Hオキシダーゼ阻害剤であるDPIによって、エリシター誘導の気孔閉口が阻害されることを明らかにした。また、細胞内カルシウム濃度測定によって、エリシターが孔辺細胞内のカルシウム濃度の上昇を誘導することを明らかにした。また、気孔閉口の可逆性はともに高濃度でなくないことを明らかにした。このエリシターによる気孔閉口機構がアブシジン酸による気孔閉口機構と極めて類似していることを明らかした。原形質膜NAD(P)Hオキシダーゼ:シロイヌナズナにおいて、過酸化水素の生成に先立ち生成するスーパーオキサイド生成に関与する2つNAD(P)Hオキシダーゼがアブシジン酸によって誘導される気孔閉口に深く関与していた。エリシターとの関係についての知見も得た。一酸化窒素の役割:アブシジン酸誘導気孔閉口において、一酸化窒素がセカンドメッセンジャーとして機能していることを明らかにした。しかし、これまでに他のグループの報告に反する結果となり、パッチクランプ法とイエローカメレオンを用いた細胞内カルシウム測定法を用い、アブシジン酸誘導において働くカルシウムチャネルへの一酸化窒素の影響を調べ、情報を集めている。
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