研究課題
若手研究(A)
平成14〜15年度に行ったマイクロアレイを用いた野生型およびN型Ca^<2+>チャネル遺伝子欠損マウス神経系の遺伝子発現解析により、中枢神経各部位および後根神経節より見出されてきている神経因性疼痛確立時に発現変動を示す遺伝子群の特徴づけを継続して行い、神経因性疼痛治療の新たな標的分子候補の検索をさらに行った。行動薬理学的アプローチが可能である一部の標的分子候補に関しては、組織学的検討としてNorthern blot法および免疫組織化学法により発現変動率や発現変動部位・細胞を検討した。行動薬理学的検討では、作用薬や阻害・拮抗薬を様々なルート(腹腔内、脳室内、髄腔内)から投与を行い、マウスの神経因性疼痛行動に対する効果を検討した。以上の検討結果から選別された有望な標的分子候補の内、特に脊髄において見出されたものに関しては、さらに成熟マウス脊髄スライス標本を用いた二次元多領域光学的膜電位測定法により、作用メカニズムの検討を行った。すなわち、一次知覚神経を様々な刺激強度で電気刺激したり、様々な薬物により誘発されるシナプス応答や薬物反応を解析し、標的分子候補に対する作用薬や阻害・拮抗薬の効果を検討した。これらの検討結果から神経因性疼痛治療の新たな標的分子候補を数種類絞りこんでおり、現在論文を投稿準備中である。また本年度は、N型およびR型Ca^<2+>チャネル欠損マウスのモルヒネ鎮痛効果・鎮痛耐性形成に関する実験結果をまとめ、英文論文を発表した。R型Ca^<2+>チャネル阻害薬はモルヒネの鎮痛効果を増強するが、鎮痛耐性形成は逆に抑制することを示し、疼痛管理に有用な薬物になりうる可能性を示唆した。
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