研究課題
若手研究(A)
p38MAPK情報伝達系は免疫応答の制御に不可欠なシグナル伝達システムであることが知られている。我々はこれまでに、p38経路の主要なMAPKKKであるMTK1を単離し、さらにMTK1の制御領域に結合して活性化因子として機能するGADD45関連分子を同定してきた。本研究ではさらに、MTK1遺伝子欠損マウスを作成しGADD45-MTK1経路がTh1細胞からのIFN-γ産生に極めて重要なシグナル伝達システムであることを明らかにした。次に、GADD45分子によるMTK1活性化機構の詳細を解明するため、まずGADD45β分子全体に渡って約10アミノ酸ずつの欠失を有する系統的な変異体を作製した。これらの変異型GADD45β遺伝子をそれぞれ細胞に導入して生化学的解析を行い、GADD45β分子内でMTK1との結合に必要な領域、及びMTK1活性化に必須のアミノ酸残基を同定した。次に、アラニン置換変異体を作成して詳細な解析を行い、MTK1との結合能は保たれているものの、MTK1活性化能を喪失した変異体を得た。このような変異型GADD45β分子を細胞内に強制発現させると、ドミナント・ネガティブに作用し、正常のGADD45関連分子によるMTK1の活性化が有意に抑制されることを見出した。一方、MTK1側の機能ドメインの解析も並行して行い、GADD45結合ドメイン、自己抑制ドメイン、多量体化ドメイン、及び活性化に必須の自己リン酸化サイトをそれぞれ同定した。以上の解析の結果、GADD45関連分子によるMTK1活性化機構として、GADD45分子がMTK1に結合すると、MTK1分子内の制御ドメインとキナーゼドメイン間の抑制的相互作用が解除され、その結果、MTK1分子同士の多量体化が誘導されること、さらにキナーゼドメイン内の自己リン酸化が起きてMTK1のキナーゼ活性が亢進することを明らかにした。
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