配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2003年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2002年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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研究概要 |
前年度研究の続き、野生型KGFR遺伝子および可溶化型Tie2-Fc遺伝子を唾液腺癌細胞HSYに導入し、HSY_<KGFR-Tie2>細胞における遺伝子および蛋白発現の変動を解析した。 HSY_<KGFR-Tie2>細胞にPARPの断片化が認められ、また、ミトコンドリアを介する経路で重要なステップとなるBcl-2の発現低下、Baxの発現上昇を認めた。また、KGFR-Tie2遺伝子導入により、変動する遺伝子群を解析するため、cDNAマイクロアレイを行った。上昇する遺伝子にはp18,p27,Caspase-3,Caspase-8などを認め、低下した遺伝子にはMMP-1、-7、VEGFなどが含まれていた。また、デイファレンスゲル電気泳動法を用いた蛋白発現の差異の検討およびMALD1-TOFMAS法を用いた質量解析によるプロテオーム解析を行った。3000種類蛋白のうち、上昇した蛋白としてHsp70、Caspase-9などを同定した、一方、低下した蛋白としてはVimentin, Laminなどを同定した。また、HSY_<KGFR-Tie2>細胞をヌードマウス背部皮下に移植し、その造腫瘍能、分化能及び血管新生能について検討した結果、HSY_<KGFR-Tie2>細胞は造腫瘍性は低く、腫瘍の硝子化、核の断片化を認め、アポトーシスが誘導されていることが示唆された。血管新生関連因子の発現をin situ hybridizationにて検討した結果、VEGF-A,-Cの発現は著しく低下することを明らかにした。現在までにKGFR遺伝子を用いた癌の遺伝子治療の報告は全く無かった。口腔に発生する腫瘍は他臓器の腫瘍と異なり、直接視認、触診できることが多いので遺伝子の直接導入も簡単で、また治療効果の判定も非常容易である。またさらに有効な治療法が今まで無かった唾液腺癌の治療法として、KGFR遺伝子及びTie2-Fc遺伝子を用いた癌の遺伝子治療は非常に有望と考えられた。
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