配分額 *注記 |
28,730千円 (直接経費: 22,100千円、間接経費: 6,630千円)
2004年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2003年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2002年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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研究概要 |
1.第二言語である英語の習得過程で母語と同じ「文法中枢」を使うことを証明 第二言語の授業法の検討に役立てることを目標とし、英語の習得過程を脳活動の変化として捉えるために次のような調査を行った。附属中等教育学校の中学1年生の全生徒に対し、英語のヒアリング能力と文法運用能力の向上を促すトレーニングを2ヶ月間の授業時間に実施した。授業を受けた全生徒の中に含まれる双生児に対して、トレーニングの前後における脳活動の変化をfMRIによって計測した。その結果、英語の成績(動詞の過去形のテスト)の向上に比例して、左脳の前頭前野(ブローカ野)に活動の増加が見られ、また、この活動変化は中学1年生の双生児で高い相関を示した。この脳の場所は「文法中枢」の一部であり、日本語による同様の課題で見られた活動の場所と一致する。このように中学1年生では、英語が上達すると、日本語を使うときに活性化した脳の場所と同じ場所が活性化することが初めて示された(Sakai et al., 2004)。 2.新しい文字の習得に「文字中枢」が選択的に働くことを証明 「文字中枢」の活動に正字法と音韻の2つの要因のどちらか一方のみで十分であるか、それとも両方の要因が必要であるかを明らかにすることを目標として、大人の読字の習得過程に注目した次のような調査を行った。日本語を母語とする大学生および大学院生に対して、ハングル文字と音の組み合わせのトレーニングを2日間に渡って行い、成績の向上を確認する。さらに、このトレーニングを行っているときの脳活動をfMRIによって測定し、2日間の学習途上で脳機能に変化が観察されるかどうかを評価した。その結果、読字の成績の向上に比例して、左脳の下側頭回後部に活動の上昇が見られ、また、この活動変化は、新しく習得したハングル文字と音声を組み合わせたときにのみ見られた。既習の仮名文字よりもハングル文字の方に強い活動を示した場所は、ハングル文字よりも仮名文字の方に強い活動を示した領域と隣接していた。従って、文字が読めるようになると、新しく習得した文字に特化した「文字中枢」の一部が活性化することが初めて示された(Hashimoto & Sakai, 2004)。
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