研究課題
若手研究(A)
我々はこれまで、Sleeping Beautyという新規のトランスポゾンがマウス生体内で効率良く転位することを示してきた。その応用としていマウスの生殖系列でトランスポゾンの転位により遺伝子変異を誘発し、変異マウスを迅速かつ大量に作製することに成功した。トランスポゾンベクターには、プロモータートラップおよびポリAトラップなどの遺伝子トラップ法に必要なエレメントを導入し、各々のトラップ法のレポーターとしてlacZとGFPを用いた。この結果、GFPの発現を指標にして、容易に変異マウスをスクリーニングでき、lacZ遺伝子活性を指標にして変異遺伝子の生体内での発現部位を容易に特定できるようになった。トランスポゾンの転位の分布についても解析し、転位前の部位の近傍に転位しやすいこと、約2割の転位が他の染色体へ起きることを示した。ホモマウスも作製し、遺伝子発現がほぼ完全にブロックされていることと、実際に表現型が現れることを証明した。また、トランスポゾンとトランスポゼースの両方を有す1匹のマウスから、約1万種類の変異マウスを作製できることを示した。変異マウスの精子または胚を凍結保存し、変異マウスのバンクを構築しつつあり、変異の起きた遺伝子についての情報のデータベース化も進めている。転位効率に影響する因子についても解析し、トランスポゾン領域のDNAのメチル化により転位効率が高まることと、その機能としてトランスポゾン領域のヘテロクロマチン化が関与している可能性を示した。
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