研究課題/領域番号 |
14710014
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
倫理学
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
麻生 博之 東京経済大学, 経済学部, 講師 (50317905)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 自由 / 他者への応答 / 非同一的なもの / 自発性 / 自己決定 / 自己保存 / 責任 / 倫理学 / 他社への応答 |
研究概要 |
本研究の主要な目的は、アドルノの思考を一つの端緒として自由概念に再検討を加え、非同一的な他者への応答という契機のうちに、自由を再構成する可能性を探る点にある。本研究期間の最終年度となる今年度は、昨年度までの研究成果をふまえながら、あらためて自由をめぐるアドルノの思考を主な研究の対象とした。 実質的には、『否定弁証法』やいくつかの講義録など哲学的・倫理学的思考にかかわるアドルノの論稿をテキストにしながら、自己、自己保存、自発性、ミメーシス、因果性などの諸概念をめぐるその思索に焦点をあて、いわば「非同一性の可能性」として規定される自由の実質について考察した。とりわけ、「自発性」の核心を、「同一的な自己」であろうとすること(そしてまた「自己保存」への傾動)のうちにではなく、むしろ「他なるもの」への直接的・身体的な呼応の衝迫としての「ミメーシス的衝動」のうちにおさえようとするアドルノの理論構成と根拠について考察を行い、いわば「非同一的な他者」に呼応し、「同一的に現存することへの強制」から解放される可能性にこそ、他律への抵抗の根拠としての自由の理念を見いだそうとするその思考の内実について確認した。 「他者」への応答という論点にそくした「自由」概念の再検討という本研究の課題については、さらにより広範な連関のうちで批判的な研究がなされるべきことはいうまでもないが、本研究では、自由をめぐるアドルノの思考の検討と、関連するいくつかの概念をめぐる思想史的研究を通じて、当該課題について思考するうえで考慮されるべきいくつかの重要な論点を明らかにすることができたと思われる。 (以上の研究成果については、その一端を、平成17年度中に雑誌論文として発表する予定である。)
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