研究課題/領域番号 |
14710021
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
遠藤 徹 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10313280)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 雅楽 / 声明 / 音楽理論 / 法会 / 平安時代 / 唐楽 / 楽譜 |
研究概要 |
十世紀成立の『新撰楽譜』について、これに先行する『新撰横笛譜』(序文のみ伝存)との関係を含めて、新出の楽目録の分析から、その成立事情などについての考察を行った(遠藤徹「二つの勅撰楽譜」)。収録曲の多さから『新撰楽譜』は、『新撰横笛譜』では撰ばれなかったような希な曲目も含めて、当時の伝承曲目を細大漏らさずに網羅しようとした意図があったのではないかと推測される。また、その背後には唐楽を基礎にした日本式の理論体系の確立があったものと考えられる。また『新撰楽譜』の成立とほぼ同時期に、村上天皇によって雲林院の塔供養会が営まれたが、『舞楽要録』によると、そこでは舞楽のみならず音楽が四箇法要と有機的に結びつき多用されていた。こうした法会の様式は十一世紀から十二世紀にかけて盛行する。このような音楽と有機的な接点をもった法会の場こそが、声明の理論化を促進する重要な契機になったものと考えられる。天台僧の湛智による十三世紀成立の『声明用心集』をはじめ、声明の楽理書や楽譜類は鎌倉期以降のものばかりで、平安時代に遡るものはほとんど見いだせなかった。そのため、声明理論の形成過程の解明には、声明の唱えられた場、すなわち法会の分析が鍵になると考えるに至った。そこで『舞楽要録』や古記録を中心に分析をすすめ、なかでも白河天皇の御願による法勝寺供養会の実際を詳細に分析し、そこで声明・雅楽を含めて全体にどのような音響設計があったかを考察した。こうした音楽を多用した法会の場における声明の音楽的な錬磨が、十三世紀以降に姿を現す理論書にどう結びついていくのか、この点が今後に残された重要な課題である。
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