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似絵発生のメカニズムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 14710030
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 美術史
研究機関岡山大学

研究代表者

伊藤 大輔  岡山大, 文学部, 助教授 (00282541)

研究期間 (年度) 2002 – 2004
研究課題ステータス 完了 (2003年度)
配分額 *注記
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
キーワード似絵 / 藤原隆信 / 藤原信実
研究概要

本年度の作品調査で特に興味深かったのは、讃岐金刀比羅宮に所蔵される冷泉為恭の模本群であった。この中には、有職故実を重んじた為恭らしく、「中殿御会図」や「承安五節絵」という平安鎌倉期の行事絵の模本が見られた。それと同時に、「尚歯会図」の模本が見出されたことは、似絵発生のメカニズムを考察する上で重要な発見であった。尚歯会とは白居意が催した鳥獣を祝う会であり、平安時代の日本でもこれを真似て、断続的に催されてきた。この尚歯会では、その記録として「尚歯会図」を描くことが慣習となっていたが、平安期の作例は伝わっていない。本年度4月に発表した拙稿「似絵と尚歯会図」(『岡山大学芸術学研究』第八号)では、尚歯会図の制作が、似絵の源流であるとの見通しを述べた。特に、承安二年(一一七二)の藤原清輔による尚歯会は、似絵の始祖と呼ばれる藤原隆信が関係した可能性の濃い尚歯会として重要だが、今回発見の「尚歯会図」模本はこの承安二年の尚歯会を主題としているらしく、これまで問題となっていた平安時代の尚歯会図の実例の欠落を補完する可能性を持っていた。しかし、研究を進めた結果、この「尚歯会図」模本の図様は、江戸時代に作られた可能性が高くなってきた。これは、筆者の似絵発生に関する理論からすれば、一面歓迎すべきである。というのも、筆者はオリジナルの尚歯会図は無背景列像形式のものと予測しているが、今回発見の模本は背景を描き込み、具体的な状況描写を重んじているからである。いずれにしろ「尚歯会図」のオリジナルな姿がどのようなものであったか、理論と実作双方から今後も探求してゆきたい。
また本年度は、似絵発生の過程で、似絵以外の肖像画がどのような対抗的な力を発揮し、結果として両者が記号的な力を作動させたかを知るために、似絵以外の肖像画の調査も多数行った。これらの基礎資料をもとに、似絵の発生論的な力学を解明してゆきたい。

報告書

(1件)
  • 2002 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 伊藤 大輔: "冷泉為恭展解説"讃岐金刀比羅宮における「冷泉為恭展」の解説パンフレット. (2002)

    • 関連する報告書
      2002 実績報告書

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公開日: 2002-04-01   更新日: 2016-04-21  

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