研究課題/領域番号 |
14710061
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80333582)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 社会的交換 / 公正感 / 準拠比較 |
研究概要 |
本研究の主な目的は、公正感と不公正是正行動との関係を明らかにすることにある。社会的交換理論と衡平理論の両方の枠組みにおける公正感研究を統合し、更に近年急速に発展しつつある適応論的枠組みを導入することが、本研究の特色である。 本年度は、昨年度開発した実験システムを用いて、行為者の埋め込まれているネットワークが比較対象を規定し、それが最終的には不公正是正行動にまで影響を与えることを示す実験室実験を行った。この実験では、各参加者は同一の交換結果を経験するが、それが公正かどうかは暖昧なままであった。条件は他の参加者の置かれた状況についての情報がどの程度利用可能かによって操作し、次の三つを用意した。(1)局所比較条件(自分の交換相手についての情報のみが利用可能)、(2)集団内準拠比較条件(自分の交換相手及び自分の集団内の同じ立場の他者についての情報が利用可能)、及び(3)集団間準拠比較条件(自分の交換相手及び自分と異なる集団の同じ立場の他者についての情報が利用可能)である。米の結果では不公正是正行動は(1)>(2)>(3)であったが、今回の日本での実験結果は(1)>(2)=(3)であることを示した。このことから、日米で集団の持つ意味が異なっており、その結果として適応的な行動パターンに違いが生じている可能性が示唆された。 本年度は、集合行動としての不公正是正行動におけるただ乗り問題を解決する一つの可能性として、怒りの共有性についての実験も行う予定であった。しかし、本格的な実験室実験を行う前に検討課題が出てきたため、場面想定法を用いた質問紙調査を行った。この質問紙調査の目的は、二次の罰行動(フリーライダーを罰しない行為者を罰する)を人々が行うかどうかである。結果は、人々が二次の罰行動を行うのは、罰の対象者の行為が集団全体に波及効果をもたらす場合であることが示唆されたが、この点に関しては更なる検討が必要である。
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