研究概要 |
研究実績 われわれが開発した,ロールシャッハ・テストのデータベース(Rorschach Data System;以下,RODSと略)を用いて,今年度は,以下に示す2点の研究をおこなった。 第一は,ロールシャッハ・テストのスコアリングに関する信頼性・妥当性の検討である。この研究では,11名のテスターによって実施された69名分のロールシャッハ・データを,テスト受検者およびテスターの了解を得たうえでRODSに登録した。そして,この69名分のプロトコルについて,受検者・テスター・テストに同席していない第三者のそれぞれに独立にスコアリングを行なわせた。その結果をRODS等を用いて分析したところ,特殊区分反応,非生物運動反応,陰影材質反応などでスコアの信頼性・妥当性が低いことが確認された。本研究の成果は,現在「ロールシャッハ法研究」誌に投稿中である。 第二は,ロールシャッハ・テスト上に現れた言語表現に関する研究である。この研究では,運動反応の中に示される動詞を独自の視点から分類し,RODSに登録された各病理群および健常者群(計463名)の中でその出現頻度を比較検討した。この成果は,2003年9月に行なわれた日本心理臨床学会第22回大会にて発表した。 この2点の研究においては,言語,領域図,スコアなど,ロールシャッハ・テストの全情報を蓄積・管理できるRODSを用いたからこそ,その統計処理を迅速に遂行し得たと思われる。 なお,RODSは,2004年7月に東京・金子書房よりコンピュータ・ソフトとして「操作ガイド(研究手引書)」とともに出版されることとなった。
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