研究概要 |
本研究は、現代家族において、杜会規範や伝統などに無批判に自らを合わせることではなく、むしろ個々それぞれのライフスタイルを追求することが問題になってきている点に注目し、個人がそれぞれに自分らしい生き方として育み保持している家族ライフスタイルについての選好を最大限に実現させるために、他の家族成員の合意・協力を取り付けるパワーをどうすれば増大させることができるかについて議論しようとする。とりわけ夫婦関係に焦点を当て、夫婦間の交渉や駆け引きといったバーゲニング・プロセスがどのように展開されているか、パワーのバランスがどうなっているか、そして何が夫および妻のパワーの大きさを規定するのか等について質問紙調査を実施して明らかにしようとする。 これを達成するために本年度前半は、既存研究の知見の整理や、研究会での関連領域研究者からの情報収集を行ない、質問紙の作成に取り組んだ。完成した質問紙をもとに、本年度後半、サンプリング調査を実施した。今回は、地方小都市の代表として島根県松江市在住の夫婦、大都市の代表として兵庫県神戸市在住の夫婦を調査対象とした(ともに夫が1931〜40年生まれ、1961〜70年生まれの夫婦とした)。松江市調査・神戸市調査ともに夫と妻の両方、すなわち夫婦ペアで2,000組、選挙人名簿から無作為にサンプルを割り当て、郵送で質問紙を配布・回収した。回収票数は、松江市が1,978ケース、うちペア回答票が942組(ペアでの回収率47.1%)、神戸市が1,132ケース、うちペア回答票が527組(ペアでの回収率26.4%)となった。なお、神戸市調査のデータのみコンピュータ入力を終了した。来年度は、松江市調査のデータを入力した後、両調査データの解析を本格的に行なう予定である。
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