研究課題/領域番号 |
14710224
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
森 正美 (橘 正美) 京都文教大学, 人間学部, 助教授 (00298746)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | フィリピン / ムスリム / イスラーム / 法 / 文化政策 / 正義 / バランガイ / 地域づくり / アメリカ植民地 |
研究概要 |
フィリピン・パラワン島における法人類学的なフィールドワークを継続実施し、村落や郡レベルの具体的な紛争事例の分析から、フィリピンのムスリム社会の慣習法、イスラーム法、国家法をめぐる多元的法体制の現状を把握し、ムスリム社会内部の法の多様性を明らかにした。また今回は、郡における市民登録制度についての調査をおこない、国家の枠組みの中で、「市民」としてのムスリムがどのように位置づけられているのかを具体的な現状から理解した。さらに、1970年代に編纂されたフィリピンムスリム身分法法典の翻訳および注釈作成、さらにキリスト教的な法伝統をもつフィリピン民法と当該法の比較検討を通じ、ムスリムの置かれている法的状況を分析した。 一方、フィリピンのムスリムの国内移動、バランガイ正義法制度の適用の村落レベルまでの浸透、所轄件数の増大と内容の多様化、先住民権利法の適用によるパラワン島先住民、ムスリム、クリスチャンのエスニシティ状況の変化についての資料分析をおこなった。これらの変化は、地方のコミュニティ、国家・グローバルな状況の相互連関の結果生じており、そこには経済開発、先住民権利の法的承認、イスラームの政治的意味づけの複雑化といった要因が関係していることが明らかになった。以上の分析から、再度、国家における文化多元主義のあり方について検討する必要が認識された。2005年3月には、アメリカ合衆国バージニア州での国際政治学会第16研究会社会・文化多元主義部会の年次大会で、"Conflict Management at the Bottom : A Case Study of Political Pluralism in Philippine Society"という研究報告をおこなった。このような検討は、翻って日本という国家における文化的な多様性を社会的に実現可能なものにしていくための手がかりになるとも考えられる。
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