研究課題/領域番号 |
14710225
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
野林 厚志 国立民族学博物館, 文化資源研究センター, 助教授 (10290925)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 骨角器 / 太平洋 / 博物館 / 民族考古学 / セイウチ / 物質文化 / オーストロネシア / タパ制作 / 台湾原住民族 |
研究概要 |
本年度は、申請者の所属する国立民族学博物館の標本資料ならびに国立民族学博物館には収蔵されていない資料について、昨年度に引き続き、太平洋島嶼地域の標本資料が豊富に収蔵されているビショップ博物館(ハワイ・アメリカ合衆国)において調査を行なうことを計画としていた。具体的な内容としては、 1.骨角器の実物標本の観察および実測図の作成 2.民族誌および歴史史料を用いた骨角器の用途や社会的機能の調査 である。 実際にはビショップ博物館の資料については、インターネット上でデータベースとして公開されているものが相当数存在していたため、本研究を推進する上でこれらのインターネットソースを活用することが可能となった。一方で、具体的な調査内容としての民族誌および歴史資料による骨角器の用途や社会的機能の調査に加えて、形態学的な観察を顕微鏡レベルで行うことが必要となったため、昨年度に購入した実体顕微鏡を活用した使用痕の観察を申請者が所属する国立民族学博物館の資料を中心に行なった。 本研究全体を通じて、太平洋島嶼地域における骨角器の特徴として得られた知見は、家畜動物の活用と海生動物(哺乳類、魚類)の利用が顕著であるということである。海生動物については、島嶼地域周辺の環境に生息する動物だけではなく、交易等によって得られた資源の利用が骨角器にも見られたということは、日常的な道具が必ずしもアクセスの容易な資源のみで成立しているのではないということを具体的な物証をもって示すこととなった。一方で、儀礼や社会的な脈絡の中で使用される骨角器が身近な家畜動物の獣骨を活用している事例もあり、骨角器が自然資源と社会的・文化的環境とのなかで複合的に形成されていくということが結論づけられた。
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