本年度も平成15年度に続いて、日本国内と中国の上海市档案館を中心に、近代税制史料の収集にあたった。具体的には、日本国内では大阪の調査において、在華日本企業の中国政府への納税のあり方を記した新史料を発見するに至った。また中国の上海市档案館における調査においても、貴重な税制史に関する史料を収集することができた。史料の購入においても、江蘇省財政史弁公室『江蘇財政史料叢書』全3輯、方志出版社、1999年や民国期の史料のマイクロフィルムなど、近年になって公刊あるいは公開された貴重な史料を入手することができた。これら収集史料のデータベース作成にあたっては、昨年度に購入したパーソナルコンピューターが大きな効果を挙げている。 これら本年度に入手した史料についての分析は、現在、鋭意進行中であるが、国税レベルでの「統税」(製造者消費税)と地方税レベルの「営業税」(事業税)の運用実態の解明にあたり、貴重な史料を多く含んでおり、今後の研究に大きく寄与するものと考えられる。 また本年度は、本研究計画の最終年度に当たるため国外の学会に積極的に参加し、報告をおこなった。平成16年12月15日〜17日にかけて、中央研究院近代史研究所で開催された「近代中国的財経変遷與企業文化」国際学術研討会に参加し報告を行った。 研究成果の公開についても、来年度に京都大学出版会からこの科研での成果を含んだ論文を掲載した論文集が公刊されるなど、研究計画どおりに着実な成果をあげている。
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