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アメリカ合衆国における女性の「市民」意識形成と「市民」的行動に関する政治史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 14710266
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 西洋史
研究機関北九州市立大学

研究代表者

寺田 由美  北九州市立大学, 外国語学部, 助教授 (40285458)

研究期間 (年度) 2002 – 2003
研究課題ステータス 完了 (2003年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
キーワード移民 / 東欧系ユダヤ人 / 母親 / 食糧暴動 / ボイコット / トラスト / 母性 / 女性市民 / ジェンダー・アイデンティティ / 階級・階層
研究概要

本年度は,主として,20世紀初頭のアメリカ合衆国で展開されたユダヤ人移民の母親による抗議行動について,史料収集ならびに論文作成を行った。当該期のユダヤ人移民の母親による抗議行動として,コウシャー肉ボイコット(食糧暴動)と家賃ストライキのふたつがあげられるが,本年度は特に前者に注目し研究を進めた。女性の「合衆国市民」としての意識形成を検討するにあたって,労働者階級,特に移民女性がとった行動やその際に使われたレトリックを分析することは重要であり,それを前年度までの主たる研究対象としてきたWASPを中心とするエリート女性の行動やレトリックと比較することで本研究に大きな成果があがると思われる。
食糧暴動は,17〜19世紀のイギリス,フランス,ドイツなどのヨーロッパ諸国,あるいは日本や中国などアジア諸国でもしばしば発生しており,またそれに関する優れた先行研究も多数存在する。合衆国でも1837年の小麦粉の「独占」に伴う食糧価格高騰に抗議して起こった暴動についてH・ガットマンが言及しているものの,総じてヨーロッパやアジア諸国に比べると研究がすすんでいない分野であるように思われる。加えてヨーロッパの食糧暴動研究に関して最も重要な研究を行ったE・P・トムスンは,暴動の主唱者が非常にしばしば女性であったとしながら,それについて十分な説明をしていない。こうしたことを踏まえて,20世紀初頭の合衆国におけるユダヤ人女性が扇動したコウシャー肉暴動を1902年の事例に沿って分析した。この暴動に関して,少数ながら国内外でいくつかの先行研究があるが,これらの研究は概ねこの暴動をたんなるモラル・エコノミーの発露とは見ておらず,当該期のほかの改革運動や労働運動とのつながりを読み取ろうとしているように思われる。しかし,コウシャー肉暴動や家賃ストライキと他の運動とのつながりを十分に考察し論じている先行研究は非常に少なく,これらのユダヤ人移民女性による行動は移民史の中のエピソードとして扱われている場合が大半で,暴動の実態そのものもあまり知られていない。そこで本年度は,収集した史料から1902年のコウシャー肉暴動の実態を,原因の明確化と暴動の進展,また暴動の際に用いられた抗議の手法やレトリックに沿って具体的に明らかにすることに主眼をおいた。コウシャー肉の高騰が直接の原因で1902年の暴動は起こったのであるが,その背景には東欧ユダヤ人の家庭像,食習慣,合衆国での苦しい生活とならんで,「トラスト」問題が見え隠れしており,本年度の研究でこれについて言及した。次年度以降,さらにユダヤ人移民女性の抗議行動に関する研究を進めていく予定である。

報告書

(2件)
  • 2003 実績報告書
  • 2002 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 寺田由美: "20世紀初頭アメリカ合衆国におけるコウシャー肉ボイコット"北九州市立大学外国語学部紀要. 第110号(未定). 1-31 (2004)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書

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公開日: 2002-04-01   更新日: 2016-04-21  

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