研究概要 |
本研究の目的は,現在の東北方言における文法的諸特徴の世代的な変容とその地域差および伝播の様相を探ることにある。 まず共通の調査票を用いて南奥方言域諸地点の高年層・若年層を対象に詳細な文法記述調査を行う。南奥方言の様々な文法特徴のうちモダリティをになう文末形式,形態音韻論的な問題,アスペクト表現などを取り上げる。その結果をもとに東北各地においてグロットグラム調査を実施し,方言の伝播と変容の様相を把握する。 本年度は,2年間の記述調査の結果を踏まえ,さらに岩手県南部,宮城県北部,南部,山形県中部,南部において高年層,若年層の調査を行った。これにより,より広い範囲での,方言文法の地域差を把握することができた。 また,昨年度までの成果を踏まえ,福島県郡山市から福島市までのJR東北本線沿いおよび福島市から宮城県角田市までの阿武隈急行線沿いの各駅付近の地点において実施したグロットグラム調査の結果をもとに,当該地域の方言動態について分析を行い,一部を論文として発表した。さらに,文法現象の記述調査およびグロットグラム調査のデータに基づき,南奥方言の文法現象について,分布と年齢差に留意しながら,変容状況に関する総合的な分析を進めている。
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