研究課題/領域番号 |
14710306
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国文学
|
研究機関 | 奈良教育大学 |
研究代表者 |
日高 佳紀 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (00335465)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 谷崎潤一郎 / 読者論 / 読書 / 通俗性 / 近代 / 文芸叢書 / 新潮 / メディア / 関東大震災 / 震災報道 / 日本人コミュニティー / 発禁 / 出版戦略 |
研究概要 |
本年度は、主に、通俗的な側面からの谷崎潤一郎と読者との関係を考えるために、大正期と昭和初期における、谷崎の創作活動と通俗性との関わりの差異について、調査と分析を行った。 論文として発表したのは、大正期に刊行された文芸叢書に所収された『お艶殺し』(初出・大正4)を取り巻く、出版メディアおよび読者と、作家の表現意識とがどのような力学的な影響関係にあったのかという問題についての考察である。谷崎潤一郎の作品の中では必ずしも代表作とは言えないこの作品の位置を検討することで、大正初期に、初出、初刊、叢書所収を経て通俗小説として受容されることと、昭和初期の再刊時の位置には明らかな差異があり、それは、谷崎自身の意識の問題のみならず、同時代の出版状況そのものの反映であると考えることができるのである。 また、大正〜昭和初期の「文学場」の状況をメディアの面から考察するために、過去2年間の調査に引き続いて、一次資料の収集を集中的に行った。本年度は、特に、昭和初期における新聞連載時のテキストと、いわゆる文学全集に所収された差異のテキストの差異を、その挿絵等の問題も含めて調査した。この調査の成果は、現在、学術論文として発表すべく準備中である。 また、昨年度までに行ったカナダ・バンクーバー市における日本人コミュニティーの調査についても、平成17年度中に学会発表および論文化すべく準備中である。 さらに、研究対象としての「日本近代」の幅を広げるために、本年度は、フランスにおける近代文学研究および受容の現状調査を行った。パリ第7大学、および国立東洋言語文化研究所での聞き取り調査や授業見学等を通して、現在のフランスにおける日本近代文学研究の状況を知ることができた。
|