配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2004年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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研究概要 |
本研究では17〜20世紀初頭にかけての大規摸近代英語散文コーパスを構築し,欽定訳聖書以降の近代英語散文の文体的特徴を通時的視座および共時的視座の両面から記述しようと試みるものである。申請者のこれまでの研究で実績を挙げてきた文体統計学的手法を利用することによって,英語散文の文体における口語脈の発達や言語使用域における文体変異の相を説得力の高い客観的な形で提示することを目指している。本研究はまた、量的な観点から近代英語散文の文体の特質を明らかにし,近代英語散文の英語史上の位置づけ,体系化を行おうとするものであり,従来定説と見なされてきた知見を再検討する一方,コンピュータを利用して初めて可能となるような方法論を取り入れることで,Chambers, Gordonらによる先行研究を補完し近代英語散文の文体研究に新しい方向付けを行おうという試みである。研究計画最終年度である本年度(平成16年度)は,以下の仕事を遂行した: (1)編纂したコーパスから抽出したデータを基に,多変量解析を行い,語彙変数間の相互関係,テキスト間の相互関係,さらには語彙変数とテキスト間の相互関係を多次元空間上で視覚化する方法を研究した。なお,このプロセスで作成した統計解析スクリプト集を英語コーパス学会第24回大会ワークショップ「コーパス言語学のための多変量解析」で公開した。スクリプト集はウェブ上で公開を継続している(http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~tabata/R/)。 (2)19世紀のDickensと18世紀のSmollettにおける文体の相異を量的観点から調査し,両者の文体的相違や年代的文体変化について考察を行い,その結果の一部をカナダ,ブリティッシュコロンビア大学で開催されたInternational Association of University Professors of Englishにおいて発表した。 (3)本研究計画を実行する過程で得られた知見の一部を『英語コーパス言語学:基礎と実践 改訂新版』「第9章コーパスに基づく文体論研究」にまとめ,刊行した。
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