研究課題/領域番号 |
14710381
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
青柳 真紀子 上智大, 講師 (10333048)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | vowel devoicing / vowel reduction / stop voicing / contextual effects / Japanese / VOT boundary shift / phonetics |
研究概要 |
無声化母音が後続子音の有声・無声(有声性)の知覚に及ぼす影響を調べる一環として、5種類のki-(前部)と、7種類のda/taVOT連続体(後部)を、2種類の閉鎖区間で編集した音刺激を用いて、kita/kidaを判断する知覚実験を行った。前部のki-は、(i)母音が長く閉鎖区間に声帯振動があるもの、(ii)閉鎖区間声帯振動を除去したもの、(iii)さらに定常部を短くしたもの、(iv)さらに3波形まで短くしたもの、および(v)kitaに見られる完全に無声化したもので、これらは段階的母音弱化を表す。後部のda/taは、daの周期的波形をtaの非周期部で入替え、順次VOTを変化させたものである。da/taのみの場合の有声性の判断(da/ta)と、ki-と編集された場合の判断(kida/kita)を比較した。 Da/taのみの刺激音は範疇知覚に特徴的な反応が見られた。一方、有声閉鎖子音の先行母音として特徴的な(i)と、無声子音間に特徴的な母音(ii)は、後続子音の有声性判断に強い影響を与え、概ねVOT値に関わらずそれぞれ、有声と無声の判断を引き起こした。 段階的母音弱化を表す(i)から(v)の環境では、閉鎖区間声帯振動がなくなり、母音が短く、比較的音圧が低くなり、声帯振動がなくなるにつれ、後続子音の有声性判断も段階的に無声方向に推移した。 このことから、無声化母音は排他的に後続閉鎖音の無声判断を誘発するのではなく、一連の連続的母音弱化の終点として影響を及ぼしていることが分かった。連続的な母音弱化に対して、その知覚も連続的(音声的)なものであることが示唆された。(ICSLP2002に発表) また、同刺激を用いた実験で、英語話者も同様の結果を示した。母音弱化として無声化を示す英語の話者も、先行母音の弱化や無声化に対し音声的な反応をすることが示唆された。(ICPhS2003に発表予定)
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