研究課題/領域番号 |
14720020
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 学習院大学 (2003-2004) 千葉大学 (2002) |
研究代表者 |
阿部 克則 学習院大学, 法学部, 助教授 (20312928)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ダンピング / ダンピング防止税 / WTO / 地域経済統合 / 競争法 / 貿易救済制度 / 国際経済法 / 自由貿易協定 / 相殺関税 / セーフガード / 世界貿易機関 / 貿易救済措置 |
研究概要 |
本年度は、貿易救済制度、とりわけダンピング防止税制度をWTO体制全体の中でどのように位置づけるかという問題を中心に研究を行なった。貿易救済制度に関するWTO協定の条文が、WTO加盟国の国内法における貿易救済制度の運用に対して、一定の枠付けを行なっているという限定的な機能を果たしているとはいえ、ダンピング防止税、相殺関税、セーフガードのそれぞれの制度趣旨は協定上、不明確といわざるを得ない。そこで、WTO体制の下での地域経済統合の中でダンピング防止税がどのように扱われているかを分析すると、通例、自由貿易協定(FTA)においてはダンピング防止税が存続する一方で、EUのような単一の域内共同市場を形成するか、或いはEEAやANZGERTAのように共同市場に極めて近い経済的統合が実現した場合に、ダンピング防止税が構成国間において不適用・撤廃され、国内競争法の適用によって代替されていることがわかった。このことから、ダンピング防止税を不適用・撤廃し、国内競争法によって代替することは、より自由な競争を許容する国内経済秩序に類似した経済的・社会的地域統合の一環として実現可能なのではないかと考えることができる。そして全世界的な広がりを持つWTO加盟国間では、依然としてその経済的統合は限定的であり、ダンピング防止税に代わって国内競争法の略奪的価格設定規制のような制度を導入する基盤は存在しない。したがってWTO体制におけるダンピング防止税は、明確な制度趣旨はないとはいえ、抜本的な改正を実現する基盤も存在しないために、各加盟国が独自の目的により運用するダンピング防止税に一定の枠をはめ、明らかな濫用を防止するという緩やかな機能を持つに過ぎないものと位置づけられる。現在進行中のラウンド交渉での各国の提案や、パネル・上級委員会報告書の意味も、このようなWTO体制の役割を補強するものと理解することができる。
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