研究課題/領域番号 |
14720021
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際法学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
洪 恵子 三重大学, 人文学部, 助教授 (00314104)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2004年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 国際刑事裁判所 / ICC / 刑事手続きからの免除 / immunity / 補完性の原則 / ローマ規程 / 犯罪人引渡 / surrender |
研究概要 |
私の研究課題は「国際刑事裁判所規程における『補完性の原則』の意義と限界」である。 これまで様々な角度から国際刑事裁判所(ICC)における補完性の原則の意義を検討してきたが、今年度は研究最終年度として、次のような問題意識のもとにICCの意義と限界を徹底的に検討した。すなわち伝統的な国際法の方法論では、ICC規程の裁判権の対象となっている犯罪は、国際機関であるICCで国際法を直接に適用して処罰する方式と、国際法を受容した国内法によって国内裁判所で処罰する、という二つの方法が考えられる。したがってICCの真の意義は、国内法に基づく国内裁判所における裁判と比較して検証される必要がある。つまり、ICCにはあるが、国内裁判所にはない機能が明らかになってこそ、ICCの意義が確定するのである。そこで、私はこの問題を「国内裁判所では認められる国家元首や外交官に与えられている国際法上の刑事手続きからの免除という特権はICCでは認められない、ひいては、国内裁判では不処罰となるような者に対してこそ、ICCの裁判権は有効に機能するという通説は妥当か」という問題に還元し、内外の学説・判例・ICCの設立過程を検討した。その結果、確かにICC規程に免除の否定が規定されてはいるが、その有効性は関係国の意思に委ねられているのであり、通説はICCの妥当基盤が国家の合意である点を見落として解釈していることが明らかとなった。 ICCは史上初の常設的国際刑事裁判所として一定の意義を有することは疑いないが、それが真に国際社会の刑事裁判所として発展・定着するためにはまだ相当の道のりがあるというべきであり、ICCの妥当基盤が国家の意思にある以上、今後、一層国家の協力を仰ぐ必要がある。そのためにも、ICCはその正統性を高める必要があり、この点に関しては、すでに活動を開始したICCが、これから実際にどんな事件で自分の裁判権が有効であるかを(補完性の原則を通じて)認めるかが注目される。
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