研究課題/領域番号 |
14720066
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
澤田 眞治 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (10273210)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | ブラジル / アマゾン / 安全保障 / 軍部 / 政軍関係 / 開発 / 民主化 / 低強度紛争 |
研究概要 |
(1)1985年の民主化後のブラジルでは軍部の役割に制限が課せられ、冷戦の終焉によって軍部の関心は反共主義のイデオロギー的次元から天然資源を含む領土と国家主権の防衛という地政学的次元に移行した。1992年のリオデジャネイロの国連環境開発会議(地球サミット)を契機に、民主化前後に軍部が策定したカリャ・ノルチ計画(PCN)に見られた基地開発によるアマゾン防衛は修正され、新たにレーダーや人工衛星を使用したアマゾン監視システム(SIVAM)がコロル政権時代に提唱され、1990年代後半にカルドーゾ政権によって積極的に推進された。SIVAMは先住民の保護をはじめ熱帯森林の火災や資源の不法採掘を防止するアマゾン保護システム(SIPAM)の一部とされるが、実際の運用では低強度紛争(LIC)防止を目的とする軍事利用が中心を占めており、軍部によるアマゾン管理の手法は開発から監視に置き換えられたと言える。 (2)カルドーゾ政権の国防政策(PDN)はアマゾン防衛を最重要課題とし、ブラジル軍部も米軍の影響力がアマゾンに及ぶことを懸念している。米国はブラジル領アマゾンを隣国のコロンビア革命軍(FARC)や麻薬犯罪組織の活動地帯とみなしてブラジルに摘発を求めてきた。近年、対米自立的で地域主義的な外交路線を採るブラジルはSIVAMを通して領土と国境の管理能力を高めて米国の圧力を避け、コロンビアなど周辺諸国にSIVAMデータの国際共同利用を提言するなど南米域内で主導権を強めている。先住民保護(=人権安全保障)や熱帯雨林保護(=環境安全保障)の観点からは先端技術を駆使したSIVAMは開発主義の時代と比べて進歩的であり、現状では軍部のアマゾン監視についてブラジル国内からの批判はほとんど存在しない。だた、平時における軍部の警察業務や国内監視の強化は民主政治の観点から微妙な問題を含んでおり、今後の論点とされる。
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