研究課題/領域番号 |
14720069
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
毎熊 浩一 島根大学, 法文学部, 助教授 (50325031)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | NPM / 規制国家 / 統治 / イギリス / 行政改革 / カナダ |
研究概要 |
本研究の最終的な狙いは「NPMの理想とする統治像」の解明である。そのため、昨年度来、理論研究およびイギリス行革の実証分析を行ってきた。その結果、NPMがいわば「被治感なき統治」を企図していること等、一定の結論を得たところである。 しかし、当初からある程度予想されていたこととはいえ、この研究の過程で結論の外的妥当性に一定の限界が見え始めた。けだし、自身の手になる実証分析がほぼ一国を対象としてきたからである。そこで本年度では、一般にその成果に対する評価の高いカナダ行革に射程を広げることとした。 もっとも、いまだ「遠心性と求心性、その矛盾と止揚」という小職独自の視座からイギリスとの比較分析を行うまでにはいたっていない。だが、その基礎的作業として以下のようなカナダ行革の特徴を抽出することができたのは、紛れもなく本年度の研究成果である。 (1)改革の進め方が"漸進的"であること。その端的な現れが「対議会報告改善プロジェクト」や「現代的コントローラーシップ」等で採用されたパイロット事業の活用である。 (2)改革過程での「学習」に重きが置かれていること。一般に、カナダ行革への関心はその劇的な財政再建のため歳出削減効果に集中しがちである。しかし、管見する限り、業績測定の活用法に見られる通り、カナダ行革の特徴はむしろ継続的な学習重視の姿勢にある。 (3)改革主導権が各主体に共有されていること。そのため、中枢省と各省庁との関係は集権的でもあり分権的でもあると言いうる。これは遠心性.・求心性という小職の視座から実に興味深い。 (4)「小さな政府」に対する単純な憧憬が見られないこと。換言すれば、政府ないし行政の果たす積極的・能動的役割が強く肯定されている。カナダ行革が「専門職行政(a professional public service)」パラダイムとして特徴づけられる所以である。
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