本研究の目的は、一連の政第過程の最後に位置付けられる、政策の終焉=ポリシー・ターミネーションに関する理論的検討および実証研究を行うことである。 最終年度にあたる平成16年度は、第1年度および第2年度に行った理論的検討を踏まえつつ、ケース・スタディに重点をおいて研究を進めた。主な対象としたのは、日本の公共事業、中でも、河川(ダムを含む)と道路に関係する公共事業である。河川関連の建設事業については、中止になった事例(中海干拓事業、千歳川放水路計画、矢作川河口堰、新月ダム、紀伊丹生川ダム、細川内ダム、高梁川総合開発事業、渡良瀬遊水地総合開発事業)と、事業に対する強力な反対意見があり、その継続が議論になりながらも中止にならない事例(吉野川第十堰、苫田ダム、川辺川ダム、徳山ダム、諌早湾干拓事業、沙流川総合開発事業)を比較考察することにより、事業の中止を導く要因を探った。 また、これと平行して、道路建設事業に関しても検討を行った。研究代表者のこれまでの研究業との継続性から、公共事業の政策過程において、主要なアクターの一つである技術系行政官(主に土木技官)の役割の検討にも重点を置いている。日本の政策過程および技術系行政官の位置付けをより客観化するために、英国におけるそれらとの比較考察を試み、本年度は、英国交通省(Department of Transport)、道路庁(Highways Agency)、およびプロフェッショナル公務員の多くが加入する労働組合(RESPECT)の職員に対するインタビュー調査を実施した。
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