研究課題/領域番号 |
14730013
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
石田 潤一郎 信州大学, 経済学部, 助教授 (40324222)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 労働市場 / インセンティブ / 長期的関係 / チーム生産 / 情報の非対称性 / 昇進 / 年功序列 / 終身雇用 / 人的資本 / 社会規範 / 慣習 |
研究概要 |
企業などの組織においては、情報の非対称性などにより労働者の行動を明示的に契約により拘束することが困難なケースが散見される。こうした状況のひとつに、各労働者の行動はその近い周辺の人々には観察可能であるが、そうした指標が裁判所などの第三者に対して立証可能でないというケースが考えられる。近年では、こうした状況に対処するために、明示的な契約によるインセンティブの提供だけでなく、長期的な関係に立脚した関係的契約(relational contract)を結ぶことにより組織内部の効率性を高められることが知られてきた。 こうした点を踏まえ、本年度の研究では、労働者の行動が労働者間でのみ観察可能なケースに焦点を当て、そうした状況においてどのようなインセンティブスキームが有効に機能しうるのかについて理論的な考察を行った。"Team Incentives under Relative Performance Evaluation" (Journal of Economics and Management Strategyに掲載予定)では、このなかでも特にエージェントが多数存在しかつ労働者の評価が相対的にしか行えない場合を考察し、企業内チームコンペティションのような競争形態が個人ごとの評価よりもより効率的な結果を達成できる可能性を提示した。この結果は、多くの企業がチームコンペティションを導入し始めている近年の傾向に対して整合的な説明を与えるものであり、その意義は小さくないと考える。また、"Incentives in Academics : Collaboration under Weak Complementarities"(投稿中)ではこうした状況をさらにチーム編成が自発的であるケースに拡張し同様の分析を行った。その結果、個人のインセンティブを弱めることでかえって組織全体の効率性が高まるという一見逆説的な結論を得ている。こうしたインセンティブ構造は、様々な業種での実態と整合的であり、こうした可能性を今後も追求していくことは非常に重要な課題であると考えられる。
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