研究課題/領域番号 |
14730014
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 格 京都大学, 経済研究所, 助教授 (20314461)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 長期的関係 / 繰り返しゲーム / 私的観測 / 費用観測 / フォーク定理 / 協調可能 / 不可能性命題 / カルテル / 観測費用モデル / 協調不可能性命題 |
研究概要 |
本年度は、社会の一モデルとしての繰り返しゲームにおける協調の達成可能性について、2つの異なる情報ネットワークのモデルを中心に研究した。以下の2つのプロジェクトについて成果を得た。 (1)費用観測モデルの繰り返しゲームにおける一般的なフォーク定理の証明 通常の繰り返しゲームのモデルから離れて、各プレーヤーは各期末にコストを払えばその期の他のプレーヤーの行動を誤差なく観測できるようなモデルを構築した。観測費用を払わなかったときも、相手の行動に関する不完全な情報を受け取る可能性を含めているので、このモデルは研究者の関心を近年集めている私的観測モデルの一拡張でもある。このクラスの繰り返しゲームにおいて、ほとんど全てのステージゲームについてフォーク定理が成立することを示した。観測費用のレベルの如何を問わず、しかも無費用で受け取ることができるシグナルの精度の如何を問わず成立する命題ということで、社会における協力の達成やカルテルの形成可能性などに強い含意を持つ成果といえる。 (2)不完全(私的)観測の有限回繰り返しゲームにおける協調不可能性命題の特徴付け プレーヤーが他のプレーヤーの行動に関する不完全情報のみを受け取るような有限回繰り返しゲームを考え、そのようなゲームで協調が全く不可能であるための条件、つまり短期的な均衡の繰り返しのみが長期的関係の均衡となるようなケースの特徴付けを試みた。均衡ミニマックスという、純粋戦略均衡や定和ゲーム均衡が満たす性質が、この否定的命題の十分条件と密接に関連することが明らかになった。更に、均衡ミニマックスに似ているがより弱い性質の下では、不可能性命題が成立しないことも示した。以上の分析を通じて、期限付きの組織における協調の可否についての見通しをよくすることができた。
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