研究概要 |
今年度は研究実施計画にもとづいて, 1.スプライン基底によって表された変動係数モデルにおける節点の数の決定問題 2.取引量など他の変数をモデルに組み込んだ新たな計量モデルの作成 3.1,2で提案されるモデルに対し,マルコフ連鎖モンテカルロ法による推定方法の開発の三点を中心に研究を進めた. 1については,Green(1995,Biometrika)によって提案されたリバーシブル・マルコフ連鎖モンテカルロ法を適用することにより問題の解決を試みた.スプライン基底の節点を連続変量とした場合には,推定が難しくなるので,本研究では候補となる節点集合をデータ集合として問題を離散的に取り扱うことにした.このとき,データ数が多いときには節点の候補集合が大きくなり,既存の方法では効率が悪くなることを,シミュレーションなどの実験によって明らかにした.そこで,本研究ではアルゴリズムの効率性を改善するために,Liu他(2000,JASA)のMultipoint法にもとづいて新たな推定方法を提案した.また,提案する推定方法をシミュレーションや実際のデータに適用したところ,これまでと比べて効率性が改善されることが分かった. 次に,取引量など他の変数を取り入れてACD(Autoregressive Conditional Duration)モデルを拡張するために,Single-Indexモデルを応用することを考えた.これにより,ACDモデルよりも柔軟でしかも変数間の非線形関係を考慮した計量モデルを構築することができた.本研究で提案するモデルは複雑であるために,ハイブリッドモンテカルロ法を用いた効率的な推定方法の開発を行い,実際のデータに適用を行った.これらの研究成果は,現在論文としてまとめているところである.
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