研究概要 |
三年間の研究活動によって,基礎統計の調査方法の変更が価格指数および数量指数に与える影響を分析するためのモデルおよびその基礎となるデータファイルの構築を行った.前者の価格指数のモデルはFARCOPモデルと名づけた.FARCOPとは世帯分布(FAmiliy),小売店舗分布(Retail store),消費支出(COsumption),小売価格(retail Price)の頭文字を略したものであり,これらの各基礎統計の調査から物価指数を作成するまでのプロセスを記述した計量モデルである.世帯分布については「国勢調査」および「人口動態統計調査」,小売店舗分布については「商業統計調査」,消費支出については「家計調査」および「全国消費実態調査」,小売価格については「小売物価統計調査」および「全国物価統計調査」より,これらを統合するかたちでデータファイル,モデルを構築した.なお,本研究を進めるにあたっては,これまでの物価指数に関する研究のサーベイを行ったが,『その成果は菅幹雄『物価指数の測定論』日本評論社の中に反映させた.後者の数量モデルは,「採用品目シミュレーション・モデル」(Item Adoption Simulating Model)と名づけた,生産指数における採用品目の設定が,生産指数に与える影響をシミュレートするモデルである.新製品が登場してすぐに生産指数の採用品目に採用されることはまずなく,ある程度普及してから採用されることになる.新製品が生産指数の採用品目に採用される時点が早ければどうなるのか,遅ければどうなるのかを具体的な品目について検証するモデルである.
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