研究概要 |
金融市場の不完全性と金融政策に関する理論的研究"Dynamic Inconsistency in the Public Supply of Liquidity"については,Japanese Economic Review誌2004年号に掲載された. タイの所得分配変化に関する実証研究については,Japan and the World Economy誌にアクセプトされ,2005年中に出版されることが決定した.これは金融市場の発展が,所得格差の縮小において果たす重要な役割を明らかにしている. 日本の個票データを用いた,家計の行動に関する実証分析については,残念ながら本研究費受給期間中に結果をまとめることができなかった.これはデータの利用申請に膨大な手間がかかってしまったことが原因である.しかし最近,一橋大学社会科学統計情報研究センターのサポートにより,ようやくデータ入手のめどがついたところである.これを用いた実証研究については,来年度以降の課題としたい. ASEAN諸国のマクロ経済に関する,東京大学の河合正弘教授との共同研究「ASEANのマクロ的相互依存と為替レート制度」,および単独研究「ASEAN諸国の持続的な経済成長の実現への課題」については,『ASEANの経済発展と日本』所収の論文として,2004年に出版された.前者は,東アジア諸国の中で金融などを通じた相互依存関係が深まっていることを,後者は直接投資の決定要因を,それぞれ明らかにしている. アジア共通通貨に関する,河合正弘教授との共同研究"Is East Asia an Optimal Currency Area"および「アセアン通貨と人民元」についても,近く報告書などの形で出版される予定である.
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