研究課題/領域番号 |
14730078
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
吉田 有里 甲南女子大学, 人間科学部, 講師 (50340914)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 社会保障制度改革 / CGEモデル / 消費税 / 公的年金保険制度 / 貧困ライン / 医療保険改革 / 少子・高齢化 / 価格弾性値 |
研究概要 |
今後急速に進行する高齢化は、年金や老人医療費という老人事業関係費の増加を通じて社会保障関係費をますます増大させると思われる。こうした社会保障関係費の急増は、その財源である税・社会保険料の引き上げを通じて、次の2つの側面から経済に悪影響を与えることになる。一つは、税・社会保険料の引き上げが可処分所得や企業所得を減少させ、家計消費や投資を抑制する可能性があるので、経済成長に対して悪影響を与えるおそれがあるという側面である。他の一つは、税・社会保険料の引き上げが現役世代の負担を退職者世代に比べて相対的に重くし、彼らの労働・消費・貯蓄に悪影響を与える可能性があるという側面である。これらの悪影響を回避するためにも、まだ高齢化が緩やかなうちに抜本的な社会保障制度改革を早急に実施する必要がある。 社会保障制度改革には「社会保障の効率化」と「財源調達の効率化」という2つのアプローチがある。現在の制度改革論議は前者のアプローチに従い議論を展開している。しかし、保障レベルの大幅な引き下げや年金の民営化あるいは財政方式の変更などについて国民的合意を形成することはそれほど容易ではない。そこで、後者の「財源調達の効率化」という立場から、財源調達のあり方を検討した。具体的には、将来必要となる社会保障関係費の一定部分を消費税で賄う案を提案するとともに、その有効性を検証した。 その検証結果では、2025年度における年金にかかる負担のうち社会保険料の実質増加分を消費税で賄うとすると消費税率は14.7%、さらに公費負担分のそれも加えるならば消費税率は17.5%引き上げることになる。こうした消費税率の引き上げは消費の抑制、負担の逆進性というそれ自身が抱えるデメリットも同時に顕在化させることになる。しかし、負担の逆進性はさほど大きいものではなく、消費抑制効果も一時的なものであることが分かった。したがって、今後急激に増加する社会保障関係費の財源として消費税は十分に有効であることが確かめられた。
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