研究課題
若手研究(B)
中国における台湾系金型メーカーを中心としたヒアリング調査によって、この地域の企業における技術管理に関しては少なくとも以下の3つの方向性を示すことができると考えられる。まず、最新鋭の機械、ソフトウエアを導入し、スキルレス化を進め、人材育成は行わず、成形不良が出ないぎりぎりの、そして決して高いとはいえない精度の金型を製作することによって、利益をあげる方向が確認できる。ただし、この場合、加工材料や金型の構造が類似した範囲にとどまることが必要となる。次に工作機械は最新鋭のものを導入し、CAD/CAMベンダーとも連携しCAD/CAE/CAMソフトのカスタマイズによって、より一層のスキルレス化を進める方向が認められる。そこでのオーナーはスキルの重要性に気づいており、技術顧問のような形で日本の中でもトップレベルのスキル保有者を雇用している。ただし、自社で人材育成を行う予定はない。第3に、スキルを保有している人材を雇用し、組立・調整の仕上工程において徹底的な修正をして金型を完成させる方向性がみられた。近年の日本の金型産業を概観すると、金型生産の海外への生産移管が進み、競争優位の低下が危惧されている。しかし、現状では技術的に高度な金型についての品質、精度、コスト、納期、複雑さといった諸点を同時に満足させることのできる国は結局のところ日本以外にはないということも次第に鮮明となっている。しかしこのような金型は一部に限られるため今後いっそうの日本の強みを生かした金型製作(自動化を進めた上でのより高度なスキルの必要な金型の製作)が求められるであろう。
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型技術 20巻5号
ページ: 22-24
愛知淑徳大学論集-ビジネス学部編- 創刊号
ページ: 1-14