研究課題/領域番号 |
14730120
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
会計学
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
榎本 正博 静岡大学, 人文学部, 講師 (70313921)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 会計選択 / 利益マネジメント / 会計発生高 / 株式リターン |
研究概要 |
本年度は、Richardson et al.(2001)に従って、拡張して定義された会計発生高、すなわち会計利益と営業活動からのキャッシュフロー及び投資活動からのキャッシュフローをあわせた額の差額として定義される会計発生高を用いることによって、会計発生高の構成要素と将来リターンの関係を分析した前年度の研究の拡張的展開を図った。具体的には、拡張して定義された会計発生高の構成要素と将来リターンとの関係、特に資産と負債に関する会計発生高の役割について詳細に検討した。 その主な結果は以下のとおりである。まず政張して定義された会計発生高を用いた検証では、Sloan(1996)など先行研究で定義された会計発生高を用いた場合と、おおむね同様の結果を示した。すなわち会計発生高の持続性に関しては、キャッシュフローの持続性よりも小さいという結果が得られ、さらにヘッジ・ポートフォリオを用いた分析及び回帰分析を用いた分析からは、会計発生高が将来リターンとマイナスに相関することを示す結果が得られた。会計発生高をその構成要素ごとに詳細に分割することによって得られた検証結果からは、会計発生高と将来リターンのマイナスの相関は、主として資産に関する会計発生高から生じるという知見も得られている。加えて負債に関する会計発生高は、将来リターンとの関係がそれほど明確ではないが、資産に関する会計発生高からこれを差し引くことによって、資産に関する会計発生高の持つ情報を独立させるということを示唆する結果となっている。 また、昨年度は裁量的会計発生高と将来株式リターンの関係について分析した。この裁量的会計発生高には、経営者が自らの利益を最大化しようとする意図したもの、将来の利益・キャッシュフローに影響を与える情報ないしは効率的契約の促進を意図したものなどが混在している。以上の点を考慮に入れて、本年度は裁量的会計発生高をこれら要因によって分割する可能性について文献をもとに検討を行った。
|