研究課題/領域番号 |
14740053
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
幾何学
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
井ノ口 順一 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (40309886)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 平均曲率一定曲面 / Bianchi-Backlund変換 / 双等温曲面 / 共形幾何 / 球叢 / Darboux変換 / 単純ドレッシング / バブルトン / ループ群 / AKNS階層 / 非線型シュレディンガー方程式 / パラケーラー対称空間 / 陪法線方向の時間発展 |
研究概要 |
3次元定曲率空間内の「可積分系構造を持つ曲面」を無限次元リー群論的に構成する研究を継続して行なった。本年度は平均曲率一定曲面の変換論を小林真平氏(神戸大学・ミュンヘン工科大学)と共同で研究した。3次元ユークリッド空間内の平均曲率曲面は線叢による変換(Backlund変換)を許容しない。19世紀にL.Bianchiは線叢の複素化を考察し平均曲率一定曲面から新たな平均曲率一定曲面を得る操作を得た。この操作をBianchi-Backlund変換(BB変換)とよぶ。自明解である円柱面にBB変換を施して得られる平均曲率一定曲面をバブルトン(bubbleton)と呼ぶ。一方、平均曲率一定曲面は双等温曲面(isothermic surface)の典型例である。双等温という性質は共形変換で不変であり「共形幾何における球叢」を用いた変換論が展開できる。球叢による双等温曲面の変換はDarboux変換とよばれる。Darboux変換は複素一径数に依存する。複素一径数は実または準虚数でなければならない。 1997年に出版された論文でUdo Hertich-JerominとFranz Peditは「平均曲率一定曲面に対するDarboux変換で実一径数に依存するものはBianchi-Backlund変換と一致すること」を示した。更に次の予想を提出した。"純虚数に依存するDarboux変換はBB変換に由来しないであろう" (1)複素線叢を詳細に再検討し変換にはもう一種,「平均曲率一定曲面の変換」を与えるものがあることを発見した。 (2)従来の研究において漏れていたBB変換は「純虚数型のDarboux変換」であることを示した。 以上2つの研究結果によりHertrich-Jeromin・Peditの予想に対し否定的解答を与えた。 (論文:Shimpei Kobayashi and Jun-ichi Inoguchi,"Another bubbletons"として発表予定.2003年7月の国際会議で口頭発表)今年度の成果は従来から期待されている複素ドレッシング変換論構築への道標に相当することから注目を浴びている。
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