研究概要 |
研究代表者は、前年度に引き続き、以下の放物型方程式の爆発解の研究並びに、これを遂行するための数値手法の開発を行った: u^t=u^2u_<xx>+u^3-μ/(∫_Ω1/udx), x∈Ω, ここで,uは実数値関数で、周期境界条件の下で考えている。これは平面凸閉曲線の曲率運動を記述する方程式である。μ=0の時は古典的な曲率流となり、μが2πの整数倍となる時は平面凸閉曲線の曲線が囲む面積を保存する曲率流となる。μ=0の場合には、解の爆発を含め、様々な結果が得られているが、μ≠0の場合には多くの結果は得られていなかった。矢崎成俊氏(宮崎大学)との共同研究により、クリスタライン・アルゴリズムと呼ばれる手法を用いた近似アルゴリズムを開発した。この近似アルゴリズムの収束性とある意味での安定性を示すと共に、このアルゴリズムに基づいた数値スキームを用いて数値実験を行い、爆発解などの様相を観察した。これらの成果については、7月にシドニーで行われたICIAM2003にて報告するとともに、2本の論文(発表論文の項参照)にまとめた。 また、石渡哲哉氏(岐阜大学)との共同研究で、上の問題とは異なる、非局所項をもつ放物型偏微分方程式の爆発解の研究を行い、いくつかの成果を得た。
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