配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
本年度の研究の中心は、Henon写像を実力学系と複素力学系の両面から解析することにあった。まず第一に、複素力学系の手法を用いることにより、実Henon写像が双曲性を有するためのチェック可能な(或いは位相的な)十分条件を見い出した。それを用いて、3次のHenon写像 f_<a,b>:(x,y)〓(-x^3+a-by,x) において(a,b)=(-1.35,0.2)とした写像は、一様双曲的でしかもいかなる拡大的な1次元多項式写像の小さな摂動とも共役にならないことが証明できた。このように本質的に2次元的な力学系をもつ双曲的Henon写像は今まで知られておらず、今回の結果で初めて構成された。この定理の証明には、2つの1変数多項式から非自明な2次元の力学系を構成するfusionという考え方を用い、また具体的なHenon写像が上述の判定条件を満たすことを碓認するために精度保証計算を用いた計算機支援証明を一部使っている。 更に複素力学系を用いた手法の別の応用として、実Henon写像が最大エントロピーを持つための計算可能な判定条件を示した。その証明には、多重ポテンシャル理論におけるグリーン関数の比較のテクニックと、Bedford-Lyubich-Smillieの定理が用いられた。この結果により、Henon写像族のパラメータ空間における幾つかの部分的構造を解析することが可能になる。例えば、実Henon写像族のパラメータ空間における最大エントロピー集合やホースシュー集合を非常に精密に求めることが可能になった。
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