研究課題
若手研究(B)
ダイヤモンド素材には可能性として、高分解能、低雑音、高速、耐放射線性、高温環境下での使用という性能が期待される。また、近年の製造技術の進歩により天然のダイヤモンドより高純度の人工ダイヤモンドが得られるようになっており、価格的にも安価になることが期待されている。本研究では、安価な多結晶ダイヤモンドを使って検出器を開発する前にダイヤモンドの素材自体の検出器としての可能性を調べることを主な目的として単結晶人工ダイヤモンドを用いた検出器の研究を続けてきた。その結果、この検出器開発において重要なことは、純度の高い単結晶のダイヤモンド素材を得ることと、ダイヤモンドと金属間でオーミックな接触を得ることの2つが特に重要である。本年度は、この2点のうちオーミック接触について特に重点的に研究を進めた。これまでオーミック接触を得る方法として、オーミック接触を必要とする電極側の構造としてDLC(Diamond Like Carbon)と水素終端の組み合わせを行うことが有効であるとの結果を得ていた。しかし、この方法ではDLCがダイヤモンド素材から剥がれやすいという問題があった。そこで、新たにダイヤモンドに近いsp^3電子軌道を持ったTetrahedral Amorphous Carbon(ta-C)を新たにオーミック接触を作るための素材として研究を進めた。これは、ダイヤモンド素材との密着性に関してはDLCよりも良さそうである。しかし、水素終端を行う際の高温処理の条件等で未解決なところが残っているので、今後も研究を進めていく。放射線総合医学研究所の重粒子イオン加速器HIMACにて製作したダイヤモンド検出器の試験を続けており、オーミック接触を改善した検出器においてFeの入射に対しても検出器の有感領域では、ポーラリゼーション効果が起きていない。
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