研究課題/領域番号 |
14740191
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
須藤 孝一 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90314426)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2003年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2002年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / SrTiO_3 / ステップ / 金属酸化物 / ステップ間相互作用 / 微斜面 / 表面 |
研究概要 |
金属酸化物結晶表面におけるステップの性質に関する基礎的な知見を得ることを目的として、ペロブスカイト構造を持つSrTiO_3結晶表面上のステップの熱力学的性質について調べた。特に表面形態を決定する最も重要な要素であるステップ間相互作用に関する定量的な情報を得るため、5°以下の様々な傾斜角度のSrTiO_3(001)微斜面について、その平衡状態におけるステップの分布状態を超高真空走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて調べた。800℃では、表面は格子定数に対応する3.9Åの高さのステップが安定であり、STM像からテラス幅分布の評価を行った。傾斜角度が2°以下の表面では、ステップの分布は比較的規則的に分布しており、ガウス分布でよく近似できることが分かった。テラス幅分布の傾斜角度依存性から、ステップ間距離の2乗に反比例する斥力的相互作用が働いていることが明らかとなった。さらに反発相互作用係数が約5eV・Åと評価され、シリコンや金属結晶と比べて反発相互作用が著しく強いことが分かった。一方、傾斜角度が2°以上になると、ステップが部分的に凝集するようになり、テラス幅分布はガウス分布からずれた非常にブロードなものになることが分かった。得られた分布を解析し、ステップ間には短距離では引力的な相互作用が働いており、その引力相互作用が影響を及ぼす距離は10nm程度以下であることを明らかにした。最近の理論的研究で、ステップ間に斥力的相互作用と引力的相互作用が働く系では、ある特定の数のステップが凝集して安定化することが予想されており、今回の観察結果はこの理論予測を強く支持する非常に興味深いものであると言える。本研究で明らかとなったSrTiO_3表面のステップ間相互作用は、金属結晶や共有結合性結晶の場合と比べ複雑な距離依存性を示しており、これはイオン間の静電相互作用に起因していることを明らかにした。
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