研究課題/領域番号 |
14740199
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
唐 政 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80271972)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 陽電子消滅 / 埋め込みナノ粒子 / 電子構造(フェルミ面) / 第一原理計算(FLAPW) / 陽電子親和性捕獲 / 電子運動量分布 / Fe-Cu合金 / Al合金 / 第一原理計算 / FLAPWバンド計算 |
研究概要 |
固体中に埋め込まれたナノ粒子は、バルクと大きく異なる性質を持つことが知られているが、その電子状態の測定は非常に困難であるため、その電子構造はほとんど理解されていない。最近我々が実験的に初めて見いだした、ナノ粒子への「陽電子親和性巨大捕獲現象」を用いて、ナノ粒子固有の電子構造を調べることができる。本研究では、個体中の金属ナノ粒子の電子構造を、陽電子消滅実験と対応する第一原理計算により明らかにすることを目的とする。 昨年度は、単結晶Feマトリックス中のCuナノ粒子を作成し、バルクでは存在し得ないFCC構造のCuの電子構造(フェルミ面)を、陽電子消滅2次元角相関(2D-ACAR)測定と対応する第一原理計算によって明らかにした。今年度は、熱処理条件(熱処理時間、温度)を変えることによってCu粒子寸法を制御し、2D-ACAR法で測定される電子運動量分布のsmearingを詳細に観察した。Cu粒子の寸法がサブnmになるとsmearingが顕著になることが確認できた。このことを利用して、他の測定法では検出できないサブナノCu粒子の寸法を評価できることがわかった。 陽電子親和性巨大捕獲現象は、Fe中のCu粒子以外の系にも適用できる。今年度は、Al-Ag合金単結晶を熱処理することによって生成するAl中のAgクラスターについても、同様に、2D-ACAR測定と対応する第一原理計算を行い、Agクラスターの電子の運動量分布、そのフェルミ面の構造を明らかにした。Fe中のCu粒子の場合と異なり、Al中のAgクラスターはAg濃度が50〜60%と従来報告されているが、本研究の2D-ACAR測定と第一原理計算の比較によって、少なくとも局所的には70%以上のAg濃度の高い領域が存在することがわかつた。このことは、平衡状聾ではない熱時効極初期段階のクラスター形成メカニズムの解明において,非常に興味深い結果である。
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