研究課題/領域番号 |
14740244
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木野 康志 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00272005)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 反陽子ヘリウム原子 / 少数多体系 / 反陽子質量 / 反陽子磁気能率 / 複素座標回転法 / 共鳴状態 / 組替えチャネル結合法 |
研究概要 |
組替えチャネル結合法を用い反陽子ヘリウム原子の準安定状態のエネルギー準位の精密計算を行った。散乱の境界条件は複素座標回転法により適切に取り入れた。異なる座標系で波動関数を展開する事により、反陽子ヘリウム原子の原子的および分子的性質を反映し、粒子間相関も効率的に取り込んだ。相対論および量子電磁力学の補正を微細構造定数の4次の項まで計算した。 最近、反陽子ヘリウ4原子のエネルギー準位間のレーザー共鳴遷移周波数の高精度測定がCERNのAD(反陽子減速器)で行われ、13個の遷移が見つかった。本研究での計算結果から得られた値は全て遷移実験誤差(〜100ppb)の範囲内で実験値と一致した。 この理論値と実験値の一致を踏まえ、反陽子の質量を僅かに変化させて共鳴振動数の計算を再度行い、理論値と実験値の僅かなズレが反陽子質量の不確定さに起因すると仮定し、反陽子質量の陽子質量からのズレを見積もった。反陽子質量の不確定さは、10ppbと見積もられ、この値は現在世界で最も高い精度の陽子・反陽子質量の対称性を検証であり2004年版のParticle DATAに掲載予定である。 ここで得られた波動関数を使い、反陽子ヘリウム原子の超微細構造の計算を有効数字8桁の高精度で行った。現在実験値と30ppmの精度で一致している。さらに実験精度が上がれば反陽子の磁気能率の値を更新することが出来る。 反陽子ヘリウム生成反応の計算のための4体系の計算プログラムを作成した。ミュオン分子3体系と電子の4体系の共鳴エネルギーの計算を行いこれまでの計算結果を再現し、プログラムの有効性を確かめた。
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