研究概要 |
本研究は、テラヘルツ分光法を用いて、Ge, Te, Se, Sbを含むカルコゲナイドガラスの多相間の相転移をリアルタイム・ナノスケールで測定し、各相間の相転移発生機構を解明する。Time Domain Speciroscopy(TDS)テラヘルツ分光、FI-IR遠赤外分光、ラマンスペクトル分光の三者による測定結果を比べ、TDSテラヘルツスペクトルをプローブとしてリアルタイムの相転移情報を引き出す。これらの相関情報をもとに、ガラスの組成・作成条件を変え、グレースケールメモリ開発とって「最適ガラス」の創出を目指す。 我々は、カルコゲナイドガラスGe-Se系において、ナノスケール相分離が確認でき、自己組織化の不可欠な役割を示した。テラヘルツ領域にある低波数振動モードに関連する緩和過程を観測することができた。(J.Non-Crystal.Solids,2003)。さらに、近距離、中距離構造(ナノスケール)を解明するために、構造解析実験を行い、低波数振動モードのナノスケール構造モデルを提案した。(accepted by J.Non-Crystal. Solids)。ガラス温度上昇と共に自己組織化が起因とする各々な結晶相が現れ、多様な組み合わせがあることを見出した(Physica B,2002)。環境温度の違いによる異なる結晶相が出現する現象を利用すれば、グレースケールメモリの実現ができると考えられる(Submit to App.Phys.Lett.)。シングルビットにon/off以上の情報を持たせば、テラビット級メモリの開発にとっては革命的である。
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