研究概要 |
土壌空気中のCO_2濃度の連続自動測定への適用可能性を検討するため,ヴァイサラ社製CO_2センサーGMT220の出力特性について検証を行った。プローブ中における赤外線の射出に伴う温度変化を測定した結果,電源投入後30分において高濃度用および低濃度用プローブでそれぞれ平均2.9℃および1.9℃の温度上昇が観測された。この昇温の影響ならびに電力消費を抑制するため,バッテリー駆動によるプレヒート式の測定システムを開発した。プレヒートに必要な時間を決定するため,センサーの出力を毎分測定してプレヒート中の出力値の変化を調べたところ,高濃度用プローブに極めて特徴的な変化が認められた。また,センサーの安定に要する時間は,プレヒート時間だけではなく非通電時間の長さによっても左右されることが明らかになった。 空間的に不均質な自然条件下の土壌において,CO_2濃度の正確な鉛直分布を測定するため,一本の管から複数の深度の土壌空気を採取可能にする多深度型土壌空気採取管(マルチ採気管)を開発した。このマルチ採気管を,特徴的な物理特性を有する樹木近傍域に集中して埋設し,土壌の鉛直断面におけるCO_2濃度分布を測定したところ,樹木の最近傍でCO_2濃度が最も高くなった。この理由として,樹木近傍にはその樹木の根系とそれに由来する有機物質が密に分布するため,これらを発生源とするCO_2の生産が活発であると推定されること,また樹幹自体や支持根など太い根の存在がCO_2の大気への拡散を妨げ,高CO_2濃度の維持に寄与していることの2つが考えられる。
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