研究概要 |
平成16年度は、昨年来の研究を引き続き進めISI登録雑誌(J.Climate, Biennial and lower-frequency variability observed in the early summer climate in the western North Pacific.)に筆頭著者として研究成果を公表する。同時にBlue Earthにも日本語で研究成果を紹介。関連するテーマで国際学会においては4回、国内学会では2回研究成果を発表する。 具体的には、これまで梅雨前線の南北方向の経年変動に焦点を当てていた視点を水平2次元に広げ日本付近での梅雨の経年変動をとらえなおす。そしてその前兆現象が先行する冬季、春季にいかに現れているかを検証する。その結果、これまで明らかにしてきた海面水温偏差(SSTA)の西太平洋における馬蹄形分布パターンと関連し、日本周辺の春季SSTAと引き続く梅雨期の降水分布との間に有意な正の相関関係が現れることを見出す。ただし梅雨に伴う大気循環そのものがSSTA分布を複雑に変化させるためか、同時相関では有意な相関領域は大きく減少する。また冬季から連続的にこの相関関係を検証していった結果、2-3月頃に一度有意な相関領域は大きく減少し4-5,月頃に再度大きくなるという特徴的な時間変化が現れることを見出す。この現象はいわゆるエルニーニョ/モンスーン変動の春季に現れる予測可能性限界と関連しているととらえられる。本研究課題は、平成16年度をもって修了するが現在これらの現象をメソ気象モデルを使って検証し考察を深めている。その他、日本周辺海域での表面熱フラックスとSSTAの関係について、より基礎的なメカニズムの考察も行った。
|